講座報告
「ふたりのママがつくるかぞくのかたち-家族って何ですか-」
- 日 時
- 令和8年6月20日(土)13:30~15:00
- 会 場
- 福島県男女共生センター 第二研修室
- 講 師
- 一般社団法人こどまっぷ 代表理事 長村 さと子 氏
内容
先日、当センターにおいて長村さと子さんによる講演会が開催されました。
長村さんは自身のライフストーリーを交えながら、性的マイノリティ当事者が置かれている現状や、子育てにおいて直面する制度的・社会的な障壁について、当事者としてのリアルな視点からお話ししてくださいました。
自分らしさを隠した過去から、家族を持つという願いへ
昭和の「一般的な家族像」の価値観が根強い家庭環境の中で育ち、小学5年生で女の子に初恋をした長村さん。「この感情はいけないのではないか」と自分を隠して生きてきましたが、19歳で初めて交際を経験し、「自分らしく生きる安心感」を知ります。
その後、世間に「当事者の普通の姿」を伝えるために26歳で起業。周囲からの葛藤や言葉に直面しながらも、幼い頃から抱き続けていた「家族を持ちたい、子どもを育てたい」という強い願いに向き合い続けました。

5年に及ぶ妊活と、周囲の理解
現在のパートナーと出会い、「一緒に頑張ってみよう」と言われたことでパートナーシップ制度への一歩を踏み出します。病院や情報を探し求めること5年、ドナーに巡り合い、念願の子どもを授かりました。我が子を育てる中で、お子さんが幼稚園に通うことで「パパ」の存在などに疑問を持つことで幼稚園の先生へのカミングアウトや周囲へのアプローチなど、長村さんやお子さんのこれまでの「普通」を問い直す日々が始まりました。

「紙の問題」ではなく「生活の問題」:立ちはだかる法律の壁
講演の後半では、同性カップルが直面する切実な制度の問題が語られました。
親としての権利がない不安: 同性パートナーは法律上の「親」と認められないため、万が一の際、子どもを守るために家庭裁判所での手続きや未成年後見人の指定が必要になります。過去のゲイカップルの事例などを交え、法律婚ができないことによる不条理な現実が示されました。
子育て支援の対象外: パートナーシップ制度を利用していても、育児休暇が取得できなかったり、パートナーがいるために「ひとり親」としての支援も受けられなかったりと、制度の狭間で孤立しやすい現状があります。

子どもたちをどう支えていくか、幸せはだれが決めるのか
長村さんは「優遇をしてほしいわけではない。ただ、出産くらい安心してさせてほしい、安心して暮らしたいだけ」と訴えます。
「友情結婚」や「里親制度」など、現代にはさまざまな子どもの持ち方がありますが、LGBTQで子育てを望むカップルはまだ少数派です。だからこそ、「幸せを決めるのは社会や周りの人ではなく、子ども自身ではないか」という問いかけは、受講者に深い気づきを与えました。
「レズビアンだから活動しているのではない。今ここにいる子どもたちをどう支えていくか、みんなが安心して暮らせるようにしたい。」「将来、息子に『うちに生まれてよかった』と言ってもらえるように」
この結びの言葉通り、性的マイノリティだけの問題として捉えるのではなく、誰もが生きやすい「凸凹(デコボコ)のない社会」を地道にならしていくことの大切さを、参加者全員が共有する有意義な時間となりました。


