講座報告

令和8年度「教師のためのジェンダー平等推進セミナー」幸せになるためのジェンダー教育-「性別にとらわれない」と「あえて性別に目を向ける」

日 時
令和8年8月4日(火)13:30~15:10
会 場
オンライン開催
講 師
星野 俊樹 氏

内容

幸せになるためのジェンダー教育ー「性別にとらわれない」あと「あえて性別に目を向ける」

 8月4日(火)に学校現場におけるジェンダー平等の推進と、児童生徒一人ひとりが自分らしく学べる環境づくりについて考えることを目的として、「教師のためのジェンダー平等推進セミナー」を開催いたしました。
 本セミナーでは、ジェンダー教育実践家の星野俊樹先生をお迎えし、実践事例や科学的知見を交えながらご講演いただきました。  

1. 開催概要

 

講 師:星野 俊樹 氏(ジェンダー教育実践家・元小学校教員)  
対 象:小・中学校教職員、教育委員会関係者、教師を目指す学生・高校生等、男女共同参画担当者  
主 催:福島県(福島県男女共生センター)
共催:福島県教育委員会

2. 講演の主な内容について

 

① 実践の原点と構造的視点
講師の星野氏自身の半生や教員経験(公立・私立小学校で20年)を振り返りつつ、「学校や教室を弱肉強食な場にしないこと」「個人の問題(心理主義)に還元せず、社会構造や制度(社会的構築)として現象を捉えること」の重要性が語られました。 
 ② 「男性脳・女性脳」説の批判的検討(疑似科学の克服)
「男性は理論的、女性は感情的」といった安直な二元論(疑似科学)に対し、近年の科学的知見が提示されました。  
・人間の脳は男女の心理的特徴が混ざり合った「モザイク状」であり、純粋な「男性脳・女性脳」は存在しない。  
・脳の構造や意識には生まれつきの性差よりも、生育環境や後天的な社会文化要因が大きく影響する。  
・性差の平均値よりも、個人差(個人のバリエーション)の方がはるかに大きい。 
 ③ 4象限による教育観の整理現象を分析する
フレームワークとして「構築主義×本質主義」の4象限が提示されました。
一見正反対に見える「個人差・心の問題に還元する立場(心理主義)」と「生まれつきだと捉える立場(本質主義・神経学性差別)」は、いずれも「社会構造や不平等を問えない」という点で同じ課題を持つことが指摘されました。  
④ 教室の日常にひそむ「ジェンダーブラインド」
「男子が散らかした本を女子だけが片付ける」という教室での事例を元に、保護者や同僚教員の反応を分析。
学校現場では「男とか女とか言わないこと(性別を問わないこと)」が善意や美徳とされがちですが、それがかえって教室内の性別役割分担や構造的不平等を隠蔽(ジェンダーブラインド)してしまう危険性が提示されました。  

講義スライド

3. おわりに

 

 本セミナーでは、支援が誰に届き、誰に届いていないか、どのような不平等が生じているかを可視化・構造化して捉えること、そして目の前の子どもの言動(行動)の背後にある構造への視点を持つことが、ジェンダー平等な教室をつくる鍵となることを学びました。

 会の終わりの質疑応答では、参加者から多くの質問が寄せられ、その一つひとつに星野様より丁寧にご回答いただき、盛況のうちに閉会いたしました。

一番大切なことは構造への視点を持つこと